『私の王様』 ジョニ・ミッチェル

ジョニ・ミッチェル
ジョニのデビューアルバムの一曲目に収録されていたのが、この『私の王様』という曲。『私の王様はアパート住まい。最近とっても機嫌が悪いの、、』。この曲を初めて聴いた時は、もーっ、びっくりでした。古いアメリカンフォークだとかブルーグラスだとか、そんなものが大好きだった俺にとっては、曲そのものよりも、彼女が弾くギターの音に参ってしまった。なんと不思議な音がするんだって、、。ジョーンバエズのギターのコピーなんぞに頑張っていた俺は、この曲もコピーをしてみようとしたけど、全然分からない。それもそのはず、しばらくして知ったことだけれど、彼女のギターは、オープンチューニングといわれるものを施していたっ。^^;

ピアノなんかは『絶対音』ってのがあって、きちんとそれにそって調律されてるんだけれど、ギターは独学だった俺は、買ってきたギターテキスト、、それもクラシックの、、^^;、、に書いてある通りのチューニングをして、コードを覚えていた。そしてチューニングは絶対にそうするものと信じ込んでいたんだね。具体的に言えば、一弦の5フレットの音と二弦の開放弦を同音に、、次に二弦の5フレットの音と三弦の開放弦を同音に、、って感じでチューニング゜するのが、『正しい、そして絶対』のやり方だと思っていた、、。でも彼女のギターのというのは、、、例えば一弦の3フレットと二弦の開放弦を同音にし、次は二弦の7フレットと三弦の開放弦を同音にし、、って具合にやってるんだよね。こうすると、もうっ、無限といっていいくらいのいろんなチューニングが可能ということで、、。彼女はそのチューニングパターンを一杯持ってるみたいんだよなぁ〜。それに、普通は一弦、二弦は、『ベース音』みたいな感じだけれど、彼女はそれも無視して、自分の好きな弦を使って音を紡いでいくんだね。

俺は大馬鹿なんだ。ジョニは『私はただ左手がとても不器用だから、こんなチューニングを、、』というけど、これってすごくないっ?? こんなこと一つとってみても、俺は随分『既成概念に縛られやすい人間』ってことが判ってしまう。数学だって、いろんな解き方や問題に対するアプローチがあるってことに気がついたら、あんなに数学嫌いになることは無かった、、なんて思って、自分の馬鹿さ加減がほとほと嫌になったりしました。^^; 以外とこういう事は身の回りに沢山あって、男とはこういうもの、女とはこういうもの、政治家とはこういうもの、サラリーマンとはこういうもの、、って、自分で自分を縛ってる、、。文章はこう書くもの、言葉とはこうあるもの、、って、自分を振り返ると、そんなものに縛られて、にっちもさっちも行かなくなってる状況ってあったりして、、。でも、この曲聴くと、そんなものに縛られたままでずっといるなんて、、ちょっとつまらなくない? って、思わせてくれたりするんですよね。(^^) ジョニは、この曲では随分『ふさがった状況』を歌ってるけど、自由に飛び回る音の響きを自分に引きつけて聴いていると、一音変えるだけで、、ちょっと別の見方をするだけで、ガラッと状況を変える事が出来ることを示唆している、、、突破口を見つけることが出来るって気になったりします。